虫の持つ美術的要素。他の動物とは異なる外骨格が生み出すシャープな質感や合理的な形状。芸術家として美意識を抱くには十二分。雑誌の取材でも、虫に魅せられた理由を「虫の体にはあらゆる美しい要素があると思うんです。薄い部分、細かい部分、厚い部分と、どれもがみな美しい。そして何よりもアニミズムを感じさせてくれる」と答えている。
虫や昆虫などの小さな生物は、自然と一体化することで身を隠して生活している。生きるために変化(へんげ)することが必要なのだ。最初のページでも紹介したコノハムシ(ナナフシ科)とカレハカマキリは、その変化(へんげ)をストレートに表現している虫たち。どちらの変化が勝っているのか競っている様子を表現している。虫たちが生き残るための最大の武器は変化、つまり擬態であることから、究極の形状を持った二種にとっては頂上決戦である。無表情な昆虫なのでユーモラスな造形ではあるが、その意味合いは充分に感じ取れる。