多くの虫たちが花を持っているが、これは中国の禅林における故事の一節「百鳥銜花」に感銘を受け、作品のテーマにしているのだ。いわゆる禅問答であり、坐禅があまりに見事だったので、多くの鳥が美しい花をくわえて来て、彼を供養した、という件(くだり)である。この説話には仏教的解釈の続きがあるのだが、虫然氏は多くの美しい鳥が美しい花をくわえて飛んでくる様(さま)に感動したようだ。自然界ではあり得ない超自然的な情景が、実は自然の本質を表していると考えたのだ。
 また、鳥たちが花を手向けるという仏教的な解釈も取り入れている。「わたしの描く鳥や虫たちは滅びていくであろう己の未来に花を手向けている」と語っている。

美しい百の鳥が、美しい百の花をくわえて飛んでくる情景は超自然であり、アニミズムの本来の姿であり、あらゆる生物への鎮魂でもある。